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“お互いさま”の気持ちを持ち寄って

隊員名

真柄 沙耶香さん

日時

2025/12/08

募らせてきた、熊本への思い

 「初めて熊本に来たとき、空気が違う! って思ったです。包み込んでくれるような安心感があって、関東に帰りたくなくなっちゃいました」。ズバリ、ひと目惚れ。以来、真柄沙耶香さんの心には、熊本への思いが降り積もっていったようです。いつかは、いつかは。そう思いながら熊本へ通う日々。10数年を経て子育てが落ち着いたタイミングで、熊本県が主催する合同就職説明会に参加し、御船町と、地域おこし協力隊という働き方を知ります。それが転機となり、ついに移住を叶えました。


活動を通して触れる、町の魅力

 御船町には、商業施設などが集まる街場と吉無田高原や七滝地区などの山間部があり、「それぞれにカラーが異なっていておもしろい!」と真柄さん。「県内どこに行くにもアクセスがいいんですよ。ここは西南戦争でも重要な拠点になったそうです。歴史的な背景が、いまにつながっているのかな」。地域の歴史についても地元の方がいろいろ教えてくれるのだと、うれしそうに笑います。

 

 真柄さんの仕事場のひとつである御船街なかギャラリーは、そんな地域の歴史を象徴する建物のひとつ。豪商でありながら、領民のために私財を投じて橋を造り、私学校を設立した林田能寛(のうかん)の生家と言われています。


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経済の中心地として栄えた当時の面影を残すたたずまいの、御船街なかギャラリー。
経済の中心地として栄えた当時の面影を残すたたずまいの、御船街なかギャラリー。
真柄さんのお気に入りの場所は南蔵。「なんだか落ち着くんです」。
真柄さんのお気に入りの場所は南蔵。「なんだか落ち着くんです」。
グランドピアノが設置されており、毎年恒例のチャリティージャズライブはたいへんな盛り上がりなのだそう。
グランドピアノが設置されており、毎年恒例のチャリティージャズライブはたいへんな盛り上がりなのだそう。
ギャラリーの周辺は本町通と呼ばれ、活版印刷所や個性的な飲食店が軒を連ねます。
ギャラリーの周辺は本町通と呼ばれ、活版印刷所や個性的な飲食店が軒を連ねます。

 着任半年にして、真柄さんが企画したイベントもすでに2つ。うまくいった点も、そうでない点もあったそうですが、「こちらがやりたいと提案したことを、観光協会の人たちも応援してくれるのがありがたいです。失敗しても、じゃぁ次はどんなふうにしようかと、相談できます」。


 真柄さんと話していると、「地域に貢献したい」「わたしがやりたいことだけじゃダメ」「協力隊がいなくても回る仕組みが必要」というフレーズが気負いなく飛び出してきます。地域おこし協力隊だからできること・できないこと、かみ合う部分とそうでない部分に葛藤を覚えながらも、こころの真ん中には常に「どうやったら地域の人が喜んでくれるだろう?」があるのです。


 そのまっすぐな気持ちがにじみ出ているからこそ、周囲の人たちも自然と、彼女を応援したいと思えるのでしょう。


本町通の飲食店を巡るシールラリーイベントを開催。写真は、シールを集めた参加者がスピードくじを引くところ。景品はなにかな?
本町通の飲食店を巡るシールラリーイベントを開催。写真は、シールを集めた参加者がスピードくじを引くところ。景品はなにかな?
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御船町に窯元があると知って企画した「風鈴まつり」。窯元それぞれの個性が光る風鈴を街なかギャラリーに展示。協賛者による飲食販売も行いました。
御船町に窯元があると知って企画した「風鈴まつり」。窯元それぞれの個性が光る風鈴を街なかギャラリーに展示。協賛者による飲食販売も行いました。

好きな言葉は「お互いさま」

 真柄さんは、長く飲食の仕事に携わってきました。「食は大切。おいしい食事を囲めば会話も弾みます。それを自分が提供して、喜んでもらえるのがすごくうれしい」。いつかは自分の店を開きたい。その夢はいまも変わりませんが、あるときから少し、考え方が変わったと話します。

 

 きっかけは、熊本地震とそれに続く豪雨災害、新型コロナウイルス感染症の流行でした。「以前は『やりたい』という自分の気持ちが先行していました。でも、人は助け合わないと生きていけないんだって気づいたんです。誰かのために、自分にできることはなんだろうって真剣に考えるようになりました」。自らの行動の先にある誰かの笑顔を、自分ではなく相手の目線から想像する。地域おこし協力隊としてだけでなく、ひとりの人として、とてもとても大切な視点です。

 

 そんな気づきを得た真柄さんが辿り着いた言葉は、「お互いさま」。

感謝でも謝罪でも意気込みでもなく、そっと気持ちを寄せあえるその言葉が、とても優しく響きます。


友人のように、家族のように接してくれるという、街なかギャラリーのスタッフと一緒に。
友人のように、家族のように接してくれるという、街なかギャラリーのスタッフと一緒に。

御船町の紹介

九州・熊本県のほぼ真ん中に位置し、「恐竜の郷」としても有名。「ちょうどいい田舎」のキャッチコピーのとおり、空港や熊本市街地へのアクセス良好ながら町の7割が中山間地で、吉無田高原など自然の豊かさに触れられる点も魅力です。

御船町の地域おこし協力隊は、町内の団体等の希望を受け、町役場が窓口となって隊員を募集(業務委託)しています。


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取材・文/家入明日美(編集室たんぽぽ)

記載の内容は取材時(2025年11月)のものです


御船町地域おこし協力隊

真柄(まがら) 沙耶香

出身 神奈川県茅ヶ崎市
任期 2025年4月~2028年3月
雇用形態 業務委託 ※「御船町観光協会」所属
活動テーマ 御船街なかギャラリーを拠点とする本町通の活性化に取り組む。
SNS:御船街観光協会 https://www.instagram.com/mifune_kankou

略歴:
年に5~6回は関東から通うほど、根っからの熊本好きでした。移住ツアーに参加したり、お試し移住体験住宅を利用したり、東京のふるさと回帰支援センターに相談に行ったりして移住のイメージを膨らませてきました。御船町では家族のように気にかけてくれる人たちがいるおかげで、少しも寂しくありません。いずれは、地域の方の居場所になるようなカフェを開きたいという夢があります。くまモンとふねまるが大好きです!

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