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空き家を宿へ
御所浦で“建築の面白さ”が伝わる滞在拠点をつくりたい

​隊員

池田 皐さん

日時

2026/02/10

-まずは御所浦に来られた経緯を教えてください。


「もともとは工務店で現場監督など、建築の仕事をしていました。友人が先に御所浦に関わっていたこともあり、遊びで来たときに“面白そうな家が多い”と感じたのが大きかったです。ちょうど仕事の区切りもあり、新たにチャレンジをしたいと思っていたタイミングで、協力隊の募集を知り、御所浦で挑戦してみようと決めました。」


建築の現場経験を持つ池田さんは、御所浦の“家”そのものに惹かれ、地域の人とのつながりを手繰り寄せながら空き家利活用のミッションへ踏み出しました。取材当日は、池田さんが改修を進め、2025年10月に宿として登録した物件でお話を伺いました。


空き家を起点に、御所浦の滞在を増やす


-協力隊としてのミッションについて伺いました。


池田さんのミッションは、交流人口の増加を見据えた御所浦地域の空き家等を活用した宿泊施設・飲食店の新規展開に関する業務です。具体的には、地域内の空き家の掘り起こしから、所有者との調整、利活用につながる提案づくりまで、現場に近い立場で進めています。

その取り組みの象徴が、今回の取材場所にもなった宿づくりです。



片付けから始まった“宿づくり”。1年半の積み重ね


-宿になる物件はどのようにして見つかりましたか。


物件探しは、着任後わりと早い時期から動き始めました。ただし、空き家は「見つければすぐに借りられる」というものではありません。

所有者の方にとっては、「知らない人に貸したくない」「変な人に触られたくない」という不安もあります。そこで重要になったのが、地域のキーマンの存在でした。顔がつながることで話が進み、まずは平面図を取らせてもらうなど、小さな合意を積み重ねていきます。


借りるまでにも段階があり、借りてからはさらに大仕事が待っていました。家の中は物が多く、片付けだけで約1年半。そこから改修を進め、宿の許可取得は3年目の秋に。


改修は、できるところは自分でやる“セルフリノベーション”が基本です。水回りなど難所も多い中で、専門業者の助けも借りながら、一つひとつ前に進めてきました。

「1人だと3年かかる作業も、3人いれば1年で進む。そういう感覚を何度も実感しました」


洗面化粧台のビフォー
洗面化粧台のビフォー
洗面化粧台のアフター
洗面化粧台のアフター
洋室のビフォー
洋室のビフォー
洋室のアフター
洋室のアフター

「池田屋 Chroi yado 」— 宿の運用とこれから


-改修してきた物件が宿に生まれ変わったことについて。


宿は地域の皆さんから「池田屋」と呼ばれていたことから、そのまま名称として採用しました。もう一つの呼び名として、Chroi(黒いと読む)も使っています。

現時点では素泊まり1泊1人5,000円で最大8名までを想定し、受け入れの状態が整ってきたら、人数設定や料金も調整していく考えです。

短期の観光客だけをターゲットとするのではなく、学生・大学生などの長期滞在も視野に入れています。恐竜博物館が近い立地も活かし、「1か月単位で泊まれるような使い方」も検討中です。

また、近隣の宿と競合より連携を重視し、宿が満室の際は“受け皿”になって、滞在を地域内で循環させる関係性をつくりたいと考えています。


「池田屋 Chroi yado」落ち着いた雰囲気の和室
「池田屋 Chroi yado」落ち着いた雰囲気の和室

建築の面白さが伝わる仕掛けを


-改修の体験はできますか。


池田さんが、この宿づくりで大事にしているのは「建物のストーリー」です。

「本当は、昔の躯体や痕跡を残したかった部分もあるんです。建築や大工仕事って面白いので、泊まった人が“ここ、どうやって作ってるんだろう”と興味を持てるような仕掛けができたら」

今後は、改修のプロセスそのものを活かしたワークショップ的な企画も、可能性として考えています。


改修の様子
改修の様子

御所浦で暮らして感じること


-地域での暮らしについて伺いました。


住む前は「人付き合いは最小限でもいい」と思っていた池田さんですが、実際に暮らし始めると、自然と輪が広がっていったそうです。声をかけられ、誘われ、気づけば島のあちこちに知り合いが増えていく。離島ならではの距離の近さが、暮らしの豊かさにもつながっています。

一方で、台風時の停電や通信環境、フェリーの運休など、離島ならではの環境もありますが、そうした不便さも含めて「御所浦のリアルな暮らし」だと受け止めています。


好きな場所は「潮が引いた海辺」


-業務時間以外の過ごし方について。


御所浦で好きな時間として挙げてくれたのが、潮が引いたときにだけ歩ける海辺です。人の手があまり入っていない場所で、自分の足跡だけが残る感覚がいいと言います。

さらに、草木に埋もれるように残る“昔の暮らしの痕跡”(煙突のような遺構)を見つけたときは、まるで遺跡のようでワクワクしたそうです。


潮が引いた時だけ歩ける海辺の風景
潮が引いた時だけ歩ける海辺の風景

地域の方へメッセージ


「できるなら仲間を増やして、島でのんびり楽しく暮らしたい。人口が減っていく中でも、最低限、暮らしと経済が回る状態が残っていけばいいなと思っています。これからもよろしくお願いします。」


空き家を“誰かの挑戦の舞台”へ変えていく池田さんの取り組みは、宿という形にとどまらず、御所浦の滞在や関係人口の入口として、これからも広がっていきそうです。


取材・文/くまもと地域おこし協力隊ネットワーク    

※記載の内容は取材時(2025年12月22日)のものです


​天草市地域おこし協力隊

池田 皐

出身 熊本県(育ちは鹿児島県)
着任 2023年7月
雇用形態 会計年度任用職員(御所浦支所) 
活動ミッション:交流人口の増加を見据えた天草市御所浦地域の空き家等を活用した宿泊施設や飲食店の新規展開に関する業務

メールアドレス:goshoura.ikeda@gmail.com
Facebook:https://www.facebook.com/share/189oscjyVn/

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