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森・里・海の循環を、みんなの“自分ごと”に

​隊員

木下 真弓さん

日時

2026/02/10

各地で取材活動を行うなかで、次第にふるさとである天草への想いが強くなっていきました。天草に通いながら、事業や地域活動に関わる方々とご縁をつなぎ、「自分にできることは何だろう」と模索する時間が、気づけば6年ほど続いていました。

転機となったのは、災害ボランティアとして訪れた地域での経験です。復旧作業に関わるなかで、「山に意識を向けること」が、暮らしや防災、地域の未来にとっていかに重要かを実感しました。その後、自伐型林業の研修を受講し、「森林にまつわる仕事がしたい」「森・里・海の循環を、みんなの“自分ごと”として捉え直したい」という思いを持つようになりました。

天草で自伐型林業を推進する動きがあると知り、これまでの経験を生かしながら関われることがあるかもしれないと考え、地域おこし協力隊に応募しました。


森を入り口に、天草の自然と暮らしを読み解く


主な活動は、天草ならではの条件に即した「小さな林業」をどう形にしていくかを考え、実践していくことです。森林資源の価値づくりと並行して、林業の担い手不足に向き合うために立ち上がったのが、天草における自伐型林業の推進でした。

着任1年目は、まず既存の林業事業体との関係性を大切にしながら、次の世代につながる担い手育成の企画づくりなどを行いました。2年目には、市有林の現況調査に取り組む傍ら、天草の森林条件に本当に合った形を探るため、「自伐型林業推進協会」から専門家をお招きし、現地を見ていただきながら助言をいただいたことが印象に残っています。さらに、「天草地域森林組合」に着任した2名の地域おこし協力隊を対象に、同協会による集中研修を実施しました。


「自伐型林業推進協会」による集中研修。定着や担い方の多様性も視野に入れ、広葉樹施業の林業家らと交流。
「自伐型林業推進協会」による集中研修。定着や担い方の多様性も視野に入れ、広葉樹施業の林業家らと交流。

地域活動としては、炭鉱の坑木や薪・炭といった燃料利用など、天草に残る「木の歴史」を聞き書きなども行っています。木育の視点も交えながら、森林と暮らしがどのように結びついてきたのかを学び直す時間でもありました。炭焼きや特用林産物である椿の販促サポート、森林環境サービスの試行、出張体験の実施などにもチャレンジしています。


担い手募集のすそ野の開拓と市場ニーズの調査を目的に、福岡の百貨店で開催されたポップアップイベントに出展。
担い手募集のすそ野の開拓と市場ニーズの調査を目的に、福岡の百貨店で開催されたポップアップイベントに出展。

さらに2025年度は、天草市の旧4市町エリアで進められている「天草西海岸インタープリテーション全体計画」の地域事務局を担当しています。これは観光振興そのものを目的とした事業ではなく、地域の自然・暮らし・文化の関係性を整理し、内外に伝えていくための枠組みづくりです。4か月間で計10回のワークショップを重ね、地域住民や事業者、域外の学生や事業者など、延べ300名近くの方に参加していただきました。


「天草西海岸インタープリテーション全体計画」の事務局を担当。地域の文脈からも小さな林業の必要性を再認識。
「天草西海岸インタープリテーション全体計画」の事務局を担当。地域の文脈からも小さな林業の必要性を再認識。

ワークショップを通じて、「地質・水・植生の関係」や「森と海、産業との循環」、「集落背後林や古道が果たしてきた役割」など、11のテーマ群が見えてきました。森林や里山は、単なる木材生産の場ではなく、暮らしや文化、環境を支えてきた基盤だったのだと、再認識できたのは、大きな財産です。

「林業は、林業者だけのものにあらず」という実感を胸に、木育をはじめとする体験、アドベンチャーツーリズムなどの視点も取り入れながら、森林への愛着やかかわりを育んでいればと考えています。


森林との距離を縮め、森林の価値を高める手立てとして開催した体験イベントの様子
森林との距離を縮め、森林の価値を高める手立てとして開催した体験イベントの様子

森・里・海のつながりから、その先の生業を描きたい


森林は、木材生産の場であるだけでなく、防災や環境保全など、多くの公益的な機能を担っています。天草市では、林業や森林環境サービスに加え、広葉樹を燻してつくる出汁素材の雑節や天然塩、木を活かしたプロダクトづくりなど、森の恵みを生かすさまざまな取り組みが行われています。


自伐型林業の視点とスキルを持つ若者が、沿岸部や中山間地で自分なりの生業を築くことができれば、森林管理にとどまらず、防災減災や自助・共助の力も高まり、地域全体の持続可能性につながっていくのではないかと感じています。


退任後は、「天草版アグロフォレストリー×旅」の事業化を目標にしています。特用林産物の栽培と加工・販売、茶の木や野草を使ったクラフトティーやコスメの開発、森・里・海をつなぐサステナブルツーリズムの構築などを通じて、天草の自然と文化、そして島々の営みを、次の時代へと手渡していきたいと考えています。


マルシェや衣食住の体験・プロダクト開発は、森里海の循環をそれぞれの自分ごとにしていく工夫でもある。
マルシェや衣食住の体験・プロダクト開発は、森里海の循環をそれぞれの自分ごとにしていく工夫でもある。

文/木下 真弓   

※記載の内容は(2026年1月20日)のものです


​天草市地域おこし協力隊

木下 真弓

出身 熊本県天草市
着任 2023年7月
雇用形態 会計年度任用職員
活動ミッション:天草ならではの「小さな林業」の推進と、担い手募集・育成
主な業務:市有林の現況調査、自伐型林業協会との研修調整、募集チラシ&記事の制作
メールアドレス:shimanotane.amakusa@gmail.com
HP:https://shimanotane.jp
Facebook:https://www.facebook.com/mayumi.kinoshita.129
Instagram:https://www.instagram.com/shimanotane_amakusa

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