
「デザイン経営」で企業の価値を上げる。天草で“人と企業がつながる場”を育てたい!
隊員
細國 由梨香さん
日時
2026/01/20
「移住を先に決めて、天草でやりたい暮らしを選びました
―まずは天草に移住したきっかけを教えてください。
「協力隊より先に、移住することを決めていました。自然の中で暮らしたいと思っていたことと、米粉と野菜を使ったおやつづくりを天草でやってみたい気持ちがあって。天草の友人から“協力隊の募集があるよ”と教えてもらい、募集内容を見て応募しました。」
細國さんは、暮らしの拠点を天草に移すことを決めていたうえで、地域おこし協力隊としての挑戦を選びました。取材では、天草での暮らしと仕事、そして「デザイン経営」というテーマに向き合うリアルな心境まで、率直に語ってくださいました。
デザイン協議会の設立・運営で、 企業とデザイナーをつなぐ
―協力隊としてのミッション(業務)について伺いました。
細國さんの主な業務は、大きく2つです。
(1)デザイン協議会の設立と運営デザイン経営の普及啓発、研修の企画、市内デザイナーのコミュニティ形成、デザイナーと企業のマッチング など
(2)天草市主催「デザインプロデューサー道場」の運営(運営補助)
「“デザイン”と聞くと、どうしてもロゴやチラシなど“見た目”のイメージが強いかもしれません。でも私は、デザインを“企業の価値を高める考え方”として捉えています。天草でその土台をつくるには、まずは理解してもらうところから、という段階だと感じています。」

着任から1年半。まずは行政の“ルール”を学ぶ時間だった
―今、1年半を振り返るといかがですか。
着任は2024年7月。
「最初の1年は、行政の仕事の進め方やルールを学ぶ時間が大きかったです。民間とは言葉も感覚も違って、最初は戸惑うことばかりでした。」
特に1年目は、担当者の変更やミッションの解釈の揺れもあり、思うように進められない苦しさもあったといいます。
「何を求められているのか、どこがゴールなのか、が見えにくい時期があって、プレッシャーを感じたこともありました。けれど、2年目に入ってからは対話が増えて、少しずつ整理して前に進める感覚が出てきました。」
今は「急いで一人で動く」よりも、地域のキーパーソンと水面下で準備を重ね、タイミングを合わせて形にしていくスタイルを大切にしています。
出張で得た学びを“天草仕様”に翻訳する
―活動を通して得たものは何ですか。
活動経費の使い方として多かったのは「旅費」。
細國さんは、デザイン経営を“言葉だけで理解する”のではなく、実際に現地へ行き、空気感ごと学ぶことを重視してきました。
「他地域の講座や取り組みを見に行って、“どんな場づくりをしているのか”“地域の雰囲気はどうか”を体感しました。うまくいっている事例も、そのままコピーして天草で成功するとは限らな いので、天草に合う形に翻訳していきたいと思っています。」
現地には天草の事業者の方と同行することもあり、「同じ目線で一緒に考える」時間が、次につながる手応えになっているそうです。

暮らしの中に、活動のヒントがある
―地域での暮らしについて伺いました。
細國さんは地域行事にも積極的に参加しています。
運動会や草払い(草刈り)など、業務ではなく“地域住民としての関わり”が日常にあります。
「のんびりしに来たつもりが、意外と忙しいです。でもありがたいですね。地域に馴染ませてもらっている感覚があります。」
住まいは一軒家で、自宅の土間には工房も整えました。米粉と野菜を使った「こめころやき」のレシピを開発して、食の活動も副業として続けています(イベント時は当日朝に仕込んで持っていくことも)。
「野菜の美味し さや栄養が引き立つように作りたい、という思いが根っこにあります。庭の畑で育てた野菜(空豆など)も、季節の味として取り入れています。」

好きな時間は、日曜夕方の温泉と“おいしい天草”
―業務時間以外のお勧めの楽しみ方は。
暮らしの楽しみとして教えてくれたのが、温泉と食。
「毎週日曜日の夕方に温泉に行くのがルーティン。東に行けば天草ゆ楽園、西に行けば下田温泉。選べるのがいいですね。天草は、魚が美味しいのも最高です。」
暮らしを整える時間があるからこそ、仕事も続けていける。そんな等身大の天草ライフが伝わってきました。

これからの展望:「デザイン」を“地域の当たり前”に近づけたい
―着任して折り返し地点。残りの任期をどう過ごす。
「正直、まだ“やりたいことにたどり着いていない”感覚も。でも、地域に根付くには時間がかかるものだと思っています。だからこそ、任期後半は“デザイン経営”の柱をしっかり立てていきたいです。」
細國さんは、協力隊の任期を“成果を急ぐ3年”ではなく、“地域に根づく形をつくる3年”として捉え直し、準備と対話を積み重ねています。

天草市の協力隊を目指す方へメッセージ
―着任して折り返し地点。残りの任期をどう過ごす。
「地域の人はみんな優しい。だから、いい距離感で暮らしていってほしいなと思います。コツは、当たり前ですけど、笑顔で挨拶すること。知っている人がどんどん増えていきます。」
一方で、協力隊ならではの難しさも率直に語ってくれました。
「協力隊は、365日“協力隊として”見られる感覚があります。目標が見つけづらいミッションだと、余計に大変に感じることもあると思います。でも、楽しむことを大事にしたい。自分が楽しめたら、それはきっと周りにも伝わると思うので。」
取材・文/くまもと地域おこし協力隊ネットワーク
※記載の内容は取材時(2025年12月4日)のものです
天草市地域おこし協力隊
細國 由梨香
出身:福岡県北九州市
着任:2024年7月
所属:産業政策課
雇用形態 会計年度任用職員
活動ミッション:人材の育成、デザイン経営を通して企業の価値を向上させる
主な業務:デザイン協議会の設立・運営/デザインプロデューサー道場の運営補助
メールアドレス:hosokuni-yu@city.amakusa.lg.jp

